「派遣のときの手取りより下がるなら、正社員にならない方がよかったのでは」——紹介予定派遣で半年働いたエンジニアが、直接雇用の内定条件シートを見てそうつぶやいたことがあります。

800名以上の転職支援に携わってきましたが、紹介予定派遣から直接雇用に切り替わった直後に、同じような戸惑いを口にする方によく出会います。紹介予定派遣からの直接雇用は、SES客先常駐からの正社員登用(プロパー化)としばしば混同されますが、法律上の枠組みも年収が動く理由もまったく別物です。今回は、紹介予定派遣のエンジニアが直接雇用時に年収が下がって見える仕組みを数字で分解し、転換前に確認すべきポイントと、想定より低い提示が来たときの動き方を、実際にあったやり取りを交えてお伝えします。

今回は、次の内容に沿ってご紹介します。

  • 紹介予定派遣とSES客先常駐からの直接雇用、法律上何が違うのか
  • 時給制の派遣と月給+賞与制の正社員、換算するとどれだけギャップが出るか
  • 派遣会社が受け取る紹介手数料の仕組みと、企業が提示額を抑えたくなる理由
  • 年収以外にも確認しておきたい、紹介予定派遣特有のデメリット
  • 直接雇用後の給与が決まるタイミングと、転換前面談で確認すべき質問
  • 想定より低い提示が来たときに、実際にどう動いたか
目次
  1. 紹介予定派遣のエンジニアが直接雇用で年収が下がる仕組み
  2. 紹介予定派遣とSES客先常駐からの直接雇用は別物
  3. 派遣は時給制、正社員は月給+賞与ベース——換算するとどれだけ違うか
  4. 直接雇用時の紹介手数料相場、企業が提示額を抑えたくなる理由
  5. 理論年収の中身次第で、提示の組み方は変わる
  6. 直接雇用後のデメリット、年収以外に確認しておきたいこと
  7. 直接雇用後の給与はいつ決まるのか、派遣期間6か月という制約
  8. 転換前面談で確認すべきポイント
  9. 想定より低い提示が来たときの対応、実際にあったやり取り
  10. 直接雇用前に見極められるメリットも踏まえて判断する
  11. まとめ、時給の単純計算と手数料の構造を知っておく

紹介予定派遣のエンジニアが直接雇用で年収が下がる仕組み

紹介予定派遣で働くエンジニアから「直接雇用の提示額が、派遣のときの手取りより低い気がする」という相談を受けることがあります。実際に数字を並べてみると、多くの場合その感覚は間違っていません。理由は大きく二つに分かれます。

一つは、派遣と正社員とで給与の設計そのものが違うこと。派遣は時給制で残業代が別途つくのに対し、正社員は月給に賞与を組み合わせた年収設計になります。もう一つは、派遣会社が企業から受け取る紹介手数料の存在です。企業は直接雇用後の年収を高く提示するほど紹介手数料も増える構造があるため、提示額を抑える方向のインセンティブが働きます。この二つを知らないまま金額だけを見比べると、「裏切られた」という感覚だけが残ってしまいます。

「紹介予定派遣 給料 下がる」で検索してたどり着く方の相談を聞いていても、実際にはこの二つの構造のどちらか、あるいは両方が絡んでいるケースがほとんどです。「派遣会社にだまされた」と結論づける前に、自分の提示額がどちらの要因でどれだけ下がっているのかを切り分けて考えると、次に何を交渉材料にできるかが見えてきます。

紹介予定派遣とSES客先常駐からの直接雇用は別物

先に整理しておきたいのが、紹介予定派遣とSES客先常駐からの直接雇用(プロパー化)の違いです。紹介予定派遣は労働者派遣法にもとづく制度で、最長6か月の試用的な派遣期間を経て、企業と派遣社員の双方が合意すれば直接雇用に切り替わります。派遣会社が制度として間に入り、直接雇用が成立すれば紹介手数料という形で対価を受け取る仕組みが最初から組み込まれています。

一方でSES客先常駐からの直接雇用は、準委任契約や請負契約で常駐しているエンジニアに対して、客先企業が個別に打診する形が中心です。この場合、月単価という別の基準が交渉の土台になり、紹介手数料の有無や料率も案件ごとに大きく異なります。仕組みが違う話なので、SES常駐からの正社員登用について交渉した実例は別記事SES客先常駐の正社員登用、単価を知る相手との年収交渉にまとめていますが、紹介予定派遣とは確認すべき相手も材料もずれることを、まず押さえておいてください。

派遣は時給制、正社員は月給+賞与ベース——換算するとどれだけ違うか

派遣で働いているあいだの収入は、基本的に「時給×稼働時間」で決まります。エンジニア職の派遣時給の目安は3,000円以上、経験・専門性が高い層では6,000円を超える水準も珍しくないというという派遣会社の目安があります(出典:アイエスエフネット「派遣エンジニアの平均年収について」、2023年公開)。同じ記事では派遣エンジニアの平均年収を400万〜450万円程度としており、時給水準だけを見ると高く感じても、年収に均すと意外と伸びていないという実感と近い数字です。

ここで試しに、時給を単純に月160時間・12か月で機械的に掛け合わせるとどうなるか見てみます。

時給月収換算(160時間)単純年収換算(×12)
3,000円48万円576万円
4,000円64万円768万円
5,000円80万円960万円
6,000円96万円1,152万円

この単純計算は実際の年収より高めに出やすいというのが、私が現場で数字を並べるたびに感じることです。派遣は稼働月によって時間数が変動するうえ、契約の切れ目や案件間の空白期間があると丸ごと収入が止まります。賞与もほぼつきません。時給を単純に12倍した金額は「理論上の上限」に近く、実際に手元に残る年収はそれより一段低いところに落ち着くのが普通です。

たとえば有給を月2日消化し、繁忙期以外は残業がほとんどない月が半年ほど続いたケースを考えると、稼働時間は160時間より1割前後下がることも珍しくありません。時給4,000円なら単純計算の768万円に対し、実際は700万円を割り込む水準になることもあります。求人票や派遣会社の説明で見た時給を、そのまま年収の目安として頭に置いておくと、実際の振込額とのあいだに毎月じわじわとした違和感が積み重なっていきます。

これに対して正社員は、月給に賞与を上乗せした金額が年収になります。月給28万円・賞与2か月分という条件なら、年収は28万円×12+56万円で392万円です。この数字だけを、派遣時給から単純計算した「理論上の年収」と並べてしまうと、正社員側がずいぶん見劣りするように映ります。しかし比べているのは「上限値」と「実現値」であって、そもそも同じ土俵の数字ではありません。

直接雇用時の紹介手数料相場、企業が提示額を抑えたくなる理由

もう一つの構造が、派遣会社が企業から受け取る紹介手数料です。紹介予定派遣で直接雇用が成立すると、企業は派遣会社に対して「理論年収×手数料率」で計算される紹介手数料を支払います。理論年収とは、月給の12か月分(残業代や手当を含む)に賞与を加えた金額のことです(出典:テンプスタッフ「紹介予定派遣の手数料は高い?」)。相場は年収の20〜35%程度とされ(出典:マンパワーグループ「紹介予定派遣とは?」)、テンプスタッフは職業安定法上の上限を50%と説明しています。

ただ、私が確認できた厚生労働省の資料では、手数料は上限制手数料と、事業者が届け出る届出制手数料の2種類に分かれており、50%という数字そのものは見つけられませんでした。実際の相場は届出制の枠内で動いていると見ておくのが無難です。仮に理論年収450万円・手数料率30%だとすると、企業が負担する手数料は135万円という計算になります。

この仕組みを知ると、企業がなぜ提示額を高く出したがらないのか見えてきます。直接雇用時の年収を引き上げれば引き上げるほど、企業が派遣会社に支払う手数料も比例して増えるため、採用予算を管理する側からすると、提示額は既存の正社員給与テーブルの初任給レンジに寄せておきたいという心理が働きやすいのです。時給から逆算した候補者側の期待値と、給与テーブルを起点にした企業側の提示額は、そもそも別の論理で決まっています。

理論年収の中身次第で、提示の組み方は変わる

理論年収は月給の12か月分に賞与や各種手当を加えたものだと説明しましたが、どの手当をここに含めるかは企業の給与規程次第という側面があります。住宅手当や資格手当のように毎月固定で支給される手当は理論年収に含まれやすい一方、一時金や決算賞与のような不定期の支給は含まれないことがあります。

私が提示内容を確認する際に見ているのは、月給の内訳が「基本給+みなし残業代」なのか「基本給のみ」なのか、賞与が制度として固定されているのか業績連動で変動するのかという点です。基本給そのものを低く抑え、業績連動賞与や一時金の比重を増やす組み方をすると、理論年収の計算上は数字が小さくなり、結果として紹介手数料の負担も抑えられます。提示された年収の内訳を分解して聞くと、単に「年収がいくらか」だけでは見えない、企業側の給与設計の意図が見えてくることがあります。

もう一つ押さえておきたいのが、紹介手数料の料率は派遣期間が長引くほど下がっていく傾向がある、という点です(出典:クラウドワークスTimes「派遣社員から直接雇用の紹介料は?」)。紹介予定派遣の期間が6か月ぎりぎりまで延びていた場合、企業側からすると手数料の負担感がむしろ和らいでいるタイミングで直接雇用の話が進むことになります。同じ記事には、年収400万円の人を1か月で直接雇用すれば料率30%で120万円、6か月後なら20%で80万円という例が載っています。

同じ記事では、労働者派遣法33条について、正当な理由がない限り、派遣元との雇用関係が終わったあとに派遣先で雇用されることを禁止する契約を結んではならない、と説明されています。目的は派遣社員のキャリアアップや雇用の安定です。企業に直接雇用そのものを義務づける条文ではないので、「提示を渋られたら33条違反」と早合点しないほうがよく、直接雇用を禁じる契約を結ぶこと自体が禁じられている、という理解にとどめておくのが正確です。

直接雇用後のデメリット、年収以外に確認しておきたいこと

紹介予定派遣は「派遣期間中にお互いを見極められる」というメリットが前面に出やすい制度ですが、直接雇用に切り替わると年収の額面以外にも変わる待遇がいくつかあります。相談を受けていて実際によく見落とされているのが、次の3点です。

賞与の初回支給が按分されること。多くの企業では賞与の算定期間を入社日から区切るため、直接雇用に切り替わったタイミング次第で、初年度の賞与は満額の何分の1かに減ります。提示された年収が賞与満額を前提にした数字なのか、初年度は按分される前提なのかを確認しないと、切り替え直後の手取りだけ想定より大きく下振れすることになります。

有給休暇が勤続年数のカウントとともにリセットされることがあること。派遣期間中に積み上げた有給日数がそのまま引き継がれるのか、直接雇用の入社日からあらためて起算されるのかは企業によって扱いが分かれます。

評価制度が固まっていないまま走り出すこと。紹介予定派遣を使う部署は、そもそも正社員の受け入れ経験が少ないケースもあり、評価シートや昇給ルールが未整備のまま「様子を見て決める」という運用になっていることも珍しくありません。

派遣期間中と直接雇用後で、待遇の仕組みは次のように変わります。

項目派遣期間中直接雇用後
給与体系時給制月給制+賞与
残業代実働分がそのまま加算みなし残業に含まれることが多い
賞与基本的になし年1〜2回、初年度は按分されることも
有給休暇派遣会社の基準で付与入社日基準でリセットされることがある
社会保険派遣会社が加入手続き転籍先企業で切り替え手続きが必要

直接雇用後の給与はいつ決まるのか、派遣期間6か月という制約

紹介予定派遣の派遣期間は最長6か月で、延長はできません。派遣開始前または派遣期間中に、直接雇用後の契約期間・業務内容・給与・賞与といった労働条件を明示する義務がある制度です(出典:マンパワーグループ「紹介予定派遣とは?」、厚生労働省「紹介予定派遣」Q&A)。同じQ&Aでは、6か月を超える派遣は認められないとされています。

ただし、私が相談を受けてきた実感でいうと、この事前提示はあくまで「例」であり、派遣期間中の働きぶりや担当業務の広がり方によって最終的な金額が動くケースが少なくありません。派遣開始時に示された金額感を最終確定額だと思い込んでしまうと、6か月後に届く実際の提示との差に驚くことになります。事前提示は目安であって約束ではない、という前提を持っておくだけでも、心構えはかなり変わってきます。

派遣開始前に交付される労働条件の明示書には、直接雇用後の契約期間・業務内容・給与・賞与・勤務時間・想定される勤務地といった項目が書かれているはずです。この段階で給与欄が「経験・能力を考慮して決定」のような曖昧な書き方になっている場合は、派遣期間の早い段階で派遣会社の営業担当に「どの時点で、誰が、何を基準に確定させるのか」を確認しておくと、転換面談で初めて金額を聞いて動揺する事態を避けられます。

転換前面談で確認すべきポイント

派遣期間の終盤に組まれる直接雇用に向けた面談は、給与の詳細をすり合わせる最後のタイミングです。ここで確認が甘いまま提示を受け入れてしまうと、あとから交渉できる材料がほとんど残りません。

転換前面談では、次の5点を必ず確認しています。

  • 直接雇用後の給与は、いつ・誰が・何を基準に確定するか(基本給・賞与・みなし残業の内訳)
  • 提示額は理論年収ベースで組まれているか、それとも既存の正社員給与テーブルへの当てはめか
  • 直接雇用を辞退した場合、残りの派遣期間や契約はどう扱われるか
  • 直接雇用後、最初の昇給・評価のタイミングはいつか。あわせて、直接雇用後に改めて試用期間が設けられるか
  • みなし残業時間の設定と、派遣期間中の実際の残業実績にどれだけ差があるか

特に見落とされがちなのが、みなし残業時間の確認です。派遣時代は残業代が時給に上乗せされていたのに、正社員になった途端にみなし残業として月給に丸め込まれるケースがあります。同じ働き方をしても、給与明細の見え方が大きく変わる部分なので、賞与の内訳とあわせて具体的な金額で聞いておく価値があります(賞与込み年収の内訳の読み方は求人票「年収650万円」賞与込みのカラクリとオファー額の差でも詳しく扱っています)。

想定より低い提示が来たときの対応、実際にあったやり取り

31歳、経験7年のインフラエンジニアだったSさんは、独立系の人材会社を通じて紹介予定派遣で部品メーカーの情報システム部門に入りました。派遣時給は3,200円、残業込みで月55万円前後の額面になる月もあり、単純に12倍すれば660万円という数字が頭に浮かんでいたそうです。

5か月目に入った転換面談で提示されたのは、月給27万円・賞与2か月分、年収にして378万円という条件でした。Sさんは電話口でこの数字を聞いた瞬間、しばらく言葉が出なかったと話していました。相談を受けた私が最初にしたのは、その378万円が何を基準に決まった数字なのかを、派遣会社の営業担当を通じて確認することでした。

確認すると、提示額はその企業の情シス部門における正社員給与テーブルの初年度レンジにそのまま当てはめられたもので、Sさんの派遣中の評価や担当業務の広がりはほとんど反映されていないことが分かりました。派遣開始時点でSさんに割り振られていたのはヘルプデスク対応が中心の業務でしたが、実際には3か月目からサーバー移行プロジェクトの主担当を任され、休止中だった旧システムの棚卸しまで一人で回していました。

そこでSさんは、担当したサーバー移行プロジェクトの実績と、それに伴って任される業務範囲が広がった事実を時系列で書き出し、次の面談で「派遣開始時点の想定業務より担当範囲が増えている以上、初年度レンジではなく1段階上のグレードで評価してほしい」と具体的に伝えました。あわせて、理論年収の考え方を派遣会社の営業担当から聞いていたことも伝え、「今の提示額のままだと、担当業務の広がりが手数料の計算にも自分の給与にも反映されていないように見える」という言い方をしたのが効いたと本人は振り返っています。

結果として月給は27万円から29万円に、賞与も2か月から2.3か月分に引き上げられ、年収は412万円まで動きました。理論上の660万円には届きませんが、Sさんが最終的に納得できたのは金額そのものよりも、「6か月後にもう一度、担当業務の広がりに応じて基本給を見直す」という文言を書面に残せたことでした。提示額そのものを一度に大きく動かすより、次の見直し時期を確約させる方が現実的な交渉になる場面は少なくありません。

なお、どうしても提示額に納得できない場合は、直接雇用そのものを辞退するという選択肢も残されています。紹介予定派遣は双方合意があって初めて直接雇用が成立する制度です。辞退した場合の契約上の扱いは派遣会社との取り決めによるので、書面の内容を派遣会社に確認しておいてください。また、辞退や不採用の理由は、派遣元を通じて確認できる仕組みがあります(出典:厚生労働省Q&A)。辞退すれば派遣契約自体も終了に向かうことが多いため、辞退の判断は次の転職先の目処と合わせて考える必要があります。

辞退を選ぶ場合は、派遣期間が終わる直前まで引っ張らないことをお勧めしています。転換面談で提示額に違和感を覚えた時点で、派遣会社の営業担当には早めに温度感を伝えておいた方が、残りの派遣期間中に次の転職先を探す時間を確保しやすくなります。ぎりぎりまで迷って派遣期間の満了と同時に辞退を告げると、次の勤務先が決まらないまま収入が途切れる期間が生じかねません。

直接雇用前に見極められるメリットも踏まえて判断する

ここまで年収が下がって見える仕組みを中心に説明してきましたが、紹介予定派遣そのものが不利な制度というわけではありません。実際に働いてみたうえで職場の雰囲気や業務内容を確認できることは、書類と面接だけで判断する通常の転職にはない強みです。エンジニア職の場合、求人票の「モダンな技術スタック」「裁量のある環境」といった表現が実態とどこまで一致しているかは、入ってみないと分からない部分が大きく、ミスマッチのリスクを事前に減らせる意味は小さくありません。

紹介予定派遣は双方の合意があって初めて直接雇用に切り替わる制度なので、企業側が最終的に直接雇用を選ばないという判断そのものはあり得ます。ただし労働者派遣法33条により、派遣元と派遣先が直接雇用を禁じる契約を結ぶことは、正当な理由がない限り禁じられています。直接雇用の道が契約で塞がれていないという点は、安心材料の一つです。

年収の交渉余地が限られているとしても、「正社員として長く働ける職場かどうか」を先に見極められる価値と、年収の下がり幅を天秤にかけて判断するのが実際的なやり方です。Sさんのケースでも、年収412万円という数字だけを見れば物足りなさが残りますが、情シス部門の体制やその後の裁量の広がりまで含めて判断すれば、悪くない着地だったという評価に落ち着いています。

まとめ、時給の単純計算と手数料の構造を知っておく

紹介予定派遣のエンジニアが直接雇用で年収が下がったと感じるのは、多くの場合、時給を単純に月・年で掛け合わせた「理論上の上限」と、月給+賞与という別の設計で組まれた正社員の提示額を、同じ土俵の数字だと錯覚してしまうことに原因があります。そこに、企業が支払う紹介手数料が理論年収に連動して増えるという構造が重なり、提示額が控えめになりやすい力学が働きます。

この仕組みを知っているかどうかで、転換前面談での聞き方も、提示を受けたあとの動き方もまったく変わってきます。金額の大小だけで判断せず、その数字が何を基準に決まったのかを聞き返せるかどうかが、紹介予定派遣という制度を活かせるかどうかの分かれ目だと、私は考えています。