面接官がホワイトボードに「正規化」と書いた三文字の意味が分からず、経験7年のUnityエンジニアの手が止まった——自社開発のWeb系企業への転職を考えるゲームエンジニアから、こういう相談をよく受けます。

私はIT・Web業界を中心に800名以上の転職支援に携わっていますが、ゲーム業界からWeb系企業への転職相談はここ数年で増えている一方、C#やC++での実装経験がWeb系の選考でどこまで評価され、どこから学び直しが必要なのかを整理できないまま応募している人がほとんどです。今回は、求人票の必須要件を具体的に引用しながら、ゲームエンジニアの技術がWeb系転職でどこまで活きて、どこからゼロになるのかの境界線をお伝えします。

今回は、次の内容に沿ってご紹介します。

  • ゲームエンジニアがWeb系転職を考える背景、年収と働き方のギャップの実態
  • C#・C++の言語知識が、Web系の求人でどこまで評価されるのか
  • 求人票の必須要件から読み解く、Webアーキテクチャ・インフラ知識のギャップ
  • 実際の選考でのつまずきと、学び直しの優先順位
目次
  1. ゲームエンジニアがWeb系転職を考える理由、年収と働き方の壁
  2. C#・C++の言語知識、Web系の求人でどこまで通用するのか
  3. 求人票の必須要件で読み解く、Webアーキテクチャ・インフラ知識のギャップ
  4. 必須要件によく出てくる言葉とその意味
  5. 求人票に「ゲーム開発経験者歓迎」と書かれる理由
  6. Unityエンジニアが自社開発企業の選考でつまずいた実例
  7. ゲームエンジニアの転職、「やめとけ」と言われる本当の理由
  8. Web系に転向するために埋めるべき知識、学び直しの優先順位
  9. 転向すると年収はどう変わるか、業種間の差をどう読むか
  10. 未経験から入りやすい隣接領域、遠回りに見える求人が近道になる
  11. ポートフォリオ・GitHubで何を示せば効果的か
  12. よくある質問に答えます
  13. まとめ、言語は活きる、アーキテクチャは学び直す

ゲームエンジニアがWeb系転職を考える理由、年収と働き方の壁

相談の背景でよく聞くのは、リリース直前・直後の稼働の重さです。あるタイトルの追加シーズン実装に合わせて数か月間繁忙期が続き、落ち着いた頃には次のタイトルの企画が動き出している、というサイクルを何年も繰り返してきたという声を、ソーシャルゲーム・スマホゲーム業界のエンジニアから何度も聞いてきました。

年収面のデータもあります。dodaが2024年9月〜2025年8月にエージェント登録者約60万人分の年収データを集計した調査では、IT/Web系エンジニア全体の平均年収が469万円だったのに対し、ゲーム(オンライン/ソーシャル)業種は429万円、システムインテグレータは481万円、ITコンサルティングは505万円という結果が出ています(出典:doda「ITエンジニアの平均年収はいくら?」)。同じエンジニア職でも、業種による40万〜75万円の差が実測値として出ているわけです。

もう一つ多いのが、プロジェクト単位の雇用の不安定さへの不満です。ソーシャルゲームはタイトルのサービス終了・開発中止が一定の頻度で起きる業界で、開発チームが解散すれば社内異動か契約終了を迫られる場面を、私は何度も相談として聞いてきました。Web系の自社開発企業でも事業撤退はありますが、複数プロダクトを並行運用している企業であれば、異動先の選択肢は相対的に広いというのが実感です。

プロジェクトの寿命にキャリアが左右される感覚への疲れが、転職相談の引き金になっているケースを多く見てきました。ゲームが嫌いになったわけではなく、開発したものが数年で終わる前提の働き方から離れたい、という動機の方が実務的です。

C#・C++の言語知識、Web系の求人でどこまで通用するのか

結論から言うと、C#やC++そのものの言語知識は、Web系の選考でも普通に評価対象になります。オブジェクト指向設計、非同期処理、メモリ管理への理解といった基礎は言語仕様に紐づくもので、UnityでもASP.NET Coreでも本質的な考え方は変わりません。実際、C#を扱うバックエンド求人でUnity出身者の書類が通過する例は珍しくないというのが私の実感です。

パフォーマンスチューニングの経験も評価されやすい部分です。フレームレートを落とさないためにGCの発生を抑える、オブジェクトプーリングでインスタンス生成コストを削るといった作業は、Web系で言えば大量アクセス時のレスポンス劣化を防ぐ発想と地続きです。「限られたリソースで処理を軽くする」という思考の型は、環境が変わっても評価されるというのが、複数の技術面接に立ち会ってきた実感です。

一方で誤解が多いのが「通信の実装経験があるから、Web系のAPI設計もできるはず」という思い込みです。ゲームのクライアント・サーバー間通信は、独自バイナリプロトコルやRPCベースの実装が中心で、ステートレスなHTTP通信を前提としたREST APIの設計思想とは出発点が異なります。ここを面接で「同じようなものです」と説明してしまうと、深掘りされた瞬間に答えに詰まる場面を何度も見てきました。

言語という道具そのものは持ち込めても、その道具で何を組み立ててきたかまでは自動的に持ち込めない、というのがこの節で伝えたい境界線です。似た構図は、jQueryからモダンフロントエンドへの転向でも起きていて、jQueryからモダンフロントエンド転職にかかる期間で扱った「言語自体は共通でも設計思想が違う」というギャップと重なる部分が多いと感じています。

求人票の必須要件で読み解く、Webアーキテクチャ・インフラ知識のギャップ

実際の求人票を見比べると、ゲームエンジニアがそのまま持ち込めるものと、ゼロから学ぶ必要があるものがはっきり分かれます。私が添削の場で実際に使っている整理を、対応表にまとめます。

ゲームエンジニアの経験Web系求人でよく見る要件通用度合い
C#/C++での実装、オブジェクト指向設計言語仕様の理解、非同期処理の実装経験通用する
フレームレート維持のためのパフォーマンスチューニング高負荷時のレスポンス改善、ボトルネック調査通用する
独自プロトコル・RPCによるクライアント間通信RESTful API設計、リクエスト/レスポンス設計部分的に通用、設計の学び直しが必要
セーブデータ・ゲーム内状態の永続化RDB設計(正規化、インデックス設計)ほぼゼロから
iOS/Android向けビルド・パッケージングCI/CDパイプライン構築(GitHub Actions等)ほぼゼロから
ゲームサーバーの負荷対策(必要に応じて)AWS/GCP実務経験、IaCでのインフラ管理ほぼゼロから

この表で一番誤解されやすいのが、真ん中の「部分的に通用」の行です。通信の設計経験があるという事実は事実として評価されますが、Web系の求人票では「RESTful API設計経験」「マイクロサービス間の通信設計」のように、ステートレスな設計を前提とした書き方がされていることがほとんどです。ゲームの通信は接続を維持し続けるステートフルな設計が主流なので、この前提の違いを自分の言葉で説明できるかどうかが、面接での評価を分けます。

ポイント: 求人票の「歓迎スキル」欄に「RDB設計経験」「AWS/GCP実務経験」が並んでいても、応募をやめる理由にはなりません。問題は経験の有無ではなく、面接で「その部分は未経験ですが、こう埋めています」まで具体的に語れるかどうかです。

必須要件によく出てくる言葉とその意味

求人票の必須要件欄で頻出する言葉のうち、ゲームエンジニアが読み違えやすいものを挙げておきます。「Webアプリケーション開発経験」はブラウザ経由でのHTTPベースの開発経験を指していて、ゲームクライアントの開発実績は基本的にここに含まれません。「RDB設計経験」は正規化・インデックス設計・トランザクション制御までを含む場合が多く、単にSQLでデータを読み書きした経験とは重みが違います。

「クラウドインフラの実務経験」は、AWSやGCPのコンソールを触ったことがあるレベルではなく、本番環境の構成をコードで管理し運用してきた経験を指すことがほとんどです。これらの言葉を字面だけで「未経験だから無理」と判断せず、募集背景の文章まで読み込んで、どの程度の関与を求めているかを見極める姿勢は、「未経験可」求人の実態でも触れた考え方と共通しています。

求人票に「ゲーム開発経験者歓迎」と書かれる理由

企業側の本音を明かすと、Web系の求人票の中には、あえて「ゲーム開発経験者歓迎」と一文を添えているものがあります。私が担当している自社開発企業の採用担当者から聞く理由はだいたい共通していて、リアルタイム性の高いUI操作やアニメーション表現、ユーザー体験への感度の高さを求めているケースがほとんどです。

例えば、toCのライブ配信サービスや位置情報マッチングアプリのように、画面操作の滑らかさが継続率を左右するプロダクトでは、フレームレートを意識してきたゲームエンジニアの感覚がそのまま武器になります。あるスタートアップの採用担当者は「サーバーサイドの設計は入社後に教えられるが、触っていて気持ちいいUIを作れる人はなかなか採用できない」と話していました。

ただし、こうした求人はフロントエンド寄りのポジションに偏っている点には注意が必要です。バックエンドやインフラを主戦場にしたいなら、「ゲーム開発経験者歓迎」の一文だけで応募先を選ばず、必須要件欄に並ぶ技術要素まで確認した方がミスマッチを防げます。評価されるのは肩書きより、何にこだわって作ってきたかだというのが、複数の採用担当者から聞いてきた共通の感覚です。

Unityエンジニアが自社開発企業の選考でつまずいた実例

スキルシートの「得意技術」欄に並んだC#・Unity・Photonという3つの言葉と、応募先の求人票の「歓迎スキル」欄に並んだPostgreSQL・Docker・AWSという3つの言葉。共通しているものが一つもないことに気づいたのが、Mさん(29歳・経験6年)の転職活動の出発点でした。

Mさんはソーシャルゲームの自社パブリッシングタイトルを開発する会社でUnityエンジニアとして6年働き、通信最適化とクライアント側のパフォーマンスチューニングを主に担当していました。応募したのは、企業向け請求管理システムを自社開発するBtoB SaaS企業です。書類選考は通過し、一次面接(現場エンジニア)では独自プロトコルでの通信最適化の話が「面白い」と好反応でした。

流れが変わったのは二次面接です。技術リードから「請求データを保持するテーブルの正規化について、どう設計しますか」と聞かれ、Mさんは数秒黙り込んでしまいました。ゲームのセーブデータはJSON形式でまるごと保存する運用が中心で、正規化という発想自体に触れる機会がほとんどなかったためです。続けて聞かれた「N+1問題への対処法」にも具体的に答えられず、その場の空気が変わったのをはっきり覚えていると、Mさんは後で振り返っていました。

二次面接の結果は不合格でした。フィードバックには「実装力は高いが、Web系のデータベース設計の経験値がまだ見えない」と書かれていたそうです。通信の最適化という強みがあっても、DB設計の土台がなければ次の面接には進めないというのが、この選考が示した現実でした。

Mさんはここから3か月、正規化とAPI設計を独学し、業務外でNode.jsとPostgreSQLを使った小さな在庫管理アプリを一人で組み立てました。テーブル設計をわざと崩した状態から正規化のやり直しを自分で経験し、N+1問題を実際に発生させてから対処するところまで一通り手を動かしています。次に応募した在庫管理システムを扱う自社開発企業の技術面接では、この検証で得た気づきをそのまま語ることができ、正規化の使い分けについても自分の言葉で説明できました。

2社目の技術面接で「テーブル設計で、正規化と非正規化をどう使い分けますか」と聞かれたとき、Mさんは検証アプリで実際に非正規化を試した経験を交えて「検索頻度が高いカラムはあえて重複を許容して結合コストを下げ、更新頻度が高い部分は正規化を崩さないようにしました」と答えられました。1社目の二次面接で沈黙してしまった質問とほぼ同じ内容でしたが、今度は自分で手を動かして得た判断として語れたのが違いです。

内定時の提示年収は471万円で、現職の439万円から32万円の上積みでした。劇的な逆転ではありませんが、「未経験です」で終わらせず、自分で手を動かして埋めた範囲を語れたことが、二次面接で止まった選考との一番の違いだったと私は見ています。

ゲームエンジニアの転職、「やめとけ」と言われる本当の理由

検索すると「ゲームエンジニア やめとけ」という声も一定数見かけますが、これは業種そのものが悪いという話ではなく、キャリアの選択肢が狭まりやすい構造への警告だと私は理解しています。特定タイトルの運用に長く携わるほど、そのタイトル固有の実装知識は深まる一方で、他社の別タイトルや異業種で再利用しにくい経験に偏っていく傾向があります。

これは対岸の話ではなく、業務システムの保守を長く続けてきたエンジニアが直面する「技術的負債」の問題とも構造が似ています。特定の環境に最適化された経験値が、環境を変えた瞬間に評価されにくくなるという現象は、SIerから自社開発へ、技術的負債と評価される理由で扱った状況とも重なります。ゲームか業務システムかという違いはあっても、「今の現場でしか通用しない専門性」を積み上げ続けるリスクは共通しています。

もう一つ「やめとけ」と言われる理由に挙がるのが、Web系への転向を決めてから動くまでの期間の長さです。転職を考え始めてから実際に応募するまで半年以上悩む人を何人も見てきましたが、悩んでいる間に技術は変わらず積み上がりません。迷っている時間そのものが、埋めるべきギャップを広げてしまうというのが、相談を受けていて一番もったいないと感じる部分です。

Web系に転向するために埋めるべき知識、学び直しの優先順位

学び直しの範囲は広く見えますが、優先順位をつければ現実的な期間に収まります。私が相談の場で勧めているのは、RDB設計、API設計、CI/CDという3つを、この順番で埋めていくやり方です。

RDB設計から始める理由は単純で、面接で最も聞かれやすく、かつ独学で検証しやすいからです。正規化の基本、インデックスの効かせ方、外部キー制約の使い分けは、書籍とローカル環境だけで手を動かして確認できます。次にAPI設計は、RDB設計で作ったデータをどう外部に公開するかという流れで学ぶと理解が早く、REST APIの設計原則とステータスコードの使い分けまで押さえておけば、面接での質問には十分対応できます。

CI/CDとクラウドインフラは、優先順位としては最後で構いません。GitHub Actionsでのテスト自動化、Dockerでのコンテナ化程度まで触れておけば、面接で「経験はないが仕組みは理解している」と答えられる状態には十分到達できます。フルスクラッチでAWSの本番運用を語れるレベルまで独学で仕上げる必要はなく、そこは入社後にキャッチアップする前提で構わないというのが私の考えです。

学習期間の目安は、平日夜と週末を使った独学で3〜5か月程度というのが、実際に転向を成功させた人たちを見てきた実感です。オンプレからクラウドへの転向でも同じように「経験なし」を独学で埋める動き方が求められますが、インフラエンジニアのクラウド未経験転職、志望動機の書き方で書いたとおり、埋めた範囲を具体的に語れるかどうかが選考結果を分けるという構図は、ゲームエンジニアの転向でもまったく同じです。

転向すると年収はどう変わるか、業種間の差をどう読むか

先に紹介したdodaのデータを改めて見ると、ゲーム(オンライン/ソーシャル)業種の429万円に対し、IT/Web系エンジニア全体は469万円、システムインテグレータは481万円という水準です。単純計算では40万〜50万円ほどの上振れが期待できますが、これはあくまで業種平均同士の比較で、個人の年収がそのまま平均に近づくわけではありません。

実際に私が担当した案件では、Mさんのように現職からの上積みが30万円前後にとどまる例もあれば、DB設計・API設計を実務レベルまで独学で仕上げてから応募し、60万円以上の上積みを引き出した例もあります。差を生んでいるのは業種そのものではなく、面接時点で「Webのアーキテクチャをどこまで自分の言葉で語れるか」という一点に尽きるというのが、複数の転向事例を見てきた率直な感想です。

年収を優先するなら、応募先の求人票で「クラウドネイティブな基盤を新規構築するフェーズ」と書かれている企業より、「既存システムの機能追加・保守」を中心に据えた企業の方が、未経験分野の比重が相対的に軽く、通過後の年収交渉でも実績を積み上げやすい傾向があります。

未経験から入りやすい隣接領域、遠回りに見える求人が近道になる

Webのバックエンド専業ポジションにいきなり応募するのが不安な場合、隣接領域を経由するルートも検討する価値があります。代表的なのが、ゲーム業界向けの受託開発やツール開発を手がける企業で、社内向けの管理画面やデータ分析基盤の開発を兼務しているポジションです。ゲーム業界の商習慣を理解している強みを活かしながら、Web系の技術スタックに実務として触れられます。

もう一つは、ゲームのバックエンド(サーバーサイド)エンジニアという肩書きの求人です。クライアント実装を担ってきたUnityエンジニアがサーバーサイドに軸足を移す形で、ステートレスなAPI設計やRDB操作に実務として触れながら、Web系の設計思想を体で覚えていくことができます。業務として触れながら学べるという点で、独学の検証環境だけで完結させるより実践的です。

求人票の職種名で言えば、「バックエンドエンジニア(ゲームサーバー)」「ゲームプラットフォーム開発エンジニア」といった名称の求人が、この種のポジションに当たります。「Web系」の看板を掲げていなくても、業務内容がWebのアーキテクチャに近い求人であれば、1〜2年の実務経験を積んだ後にフルWeb系の求人へ応募し直すという段階的な動き方が、私が見てきた中では最も無理のない転向ルートです。

ポートフォリオ・GitHubで何を示せば効果的か

書類選考の通過率を上げたいなら、ゲームの成果物とは別に、Web系の技術で組んだ小さなポートフォリオを一つ用意しておくことを勧めています。ゲームのビルドやプレイ動画だけでは、採用担当者はWeb系の実務にどこまで対応できるか判断できません。

作る題材は凝ったものである必要はありません。私が相談者に勧めているのは、在庫管理・予約管理・家計簿のような、CRUD操作とデータの関連付けが発生するアプリです。テーブルを複数用意して外部キーで関連付け、簡単な検索・集計機能まで実装すれば、正規化とAPI設計の理解を証明する材料になります。

READMEの書き方も選考結果を左右します。「なぜこのテーブル設計にしたか」「どこで詰まってどう解決したか」まで書いてあると、採用担当者は実装力だけでなく思考のプロセスまで読み取れます。完成度の高さより、詰まった箇所への向き合い方の方が、未経験分野への適性を判断する材料として重視されているというのが、書類選考に立ち会ってきた実感です。

GitHubのコミット履歴も見られています。まとまった機能を一度に上げるのではなく、設計変更や不具合修正の過程が細かく残っている方が、実務でのコードレビューに耐えられる書き方をする人だという印象を与えられます。ゲーム開発ではリポジトリ運用が社内ツール任せで、Gitの使い方に慣れていない人も一定数いるため、この点を面接前に整えておくだけでも差がつきます。

よくある質問に答えます

相談の場で繰り返し聞かれる質問を、あらためて短くまとめておきます。

相談でよく聞かれる質問(1)

  • Unreal EngineのC++経験は、Webのバックエンドで評価されますか。言語仕様への理解は評価されますが、Unrealのゲームループやメモリ管理の知識をそのまま持ち込める場面は限られます。設計思想の違いを理解している姿勢を示すことが重要です。
  • ゲーム業界の激務経験は、面接でどう伝えればいいですか。「大変でした」で終わらせず、限られた期間で何を優先し、何を後回しにしたかという判断の話として語ると、プロジェクト管理力の証明として伝わります。

相談でよく聞かれる質問(2)

  • 転向前に資格やポートフォリオは必要ですか。資格は必須ではありませんが、RDB設計とAPI設計を含む小さなWebアプリを一つ自作しておくと、面接で語れる具体例になります。
  • ゲーム会社での実装経験は職務経歴書にどう書けばいいですか。「ゲームの実装」ではなく「非同期処理の最適化」「通信プロトコルの設計」のように、Web系でも通じる技術要素に言い換えて書くと伝わりやすくなります。

相談でよく聞かれる質問(3)

  • 転職活動を始めるタイミングはいつがいいですか。新しいタイトルの企画が動き出す前、リリース直後の落ち着いた時期が動きやすいという声をよく聞きます。学び直しの期間を考えると、繁忙期に入る前に着手した方が選考にも余裕を持てます。
  • 面接官がゲーム業界に詳しくない場合、どう説明すればいいですか。タイトル名や社内用語に頼らず、「秒間の処理件数」「同時接続数」のように、業界を問わず伝わる数字で実績を語ると誤解が減ります。

まとめ、言語は活きる、アーキテクチャは学び直す

ゲームエンジニアからWeb系企業への転職は、C#やC++という言語知識がそのまま評価される一方で、RDB設計・API設計・CI/CD・クラウドインフラといったWebアーキテクチャの知識は、ほぼゼロから積み上げる必要があります。この境界線を自分の中で曖昧にしたまま面接に臨むと、Mさんのように二次面接で足踏みすることになります。

上位に出てくる記事の多くは「未経験からゲーム業界に入る方法」を扱ったもので、逆方向であるゲームからWeb系への転向を正面から扱った情報はほとんど見当たりません。だからこそ、求人票の必須要件を字面だけで判断せず、募集背景まで読み込んで自分の経験との重なりを見極める姿勢が、この転向では特に重要になります。

言語という道具は持ち込めても、その道具で何を設計してきたかは持ち込めない——この一点さえ理解して学び直しの優先順位をつけられれば、ゲームエンジニアとしての実装経験は、Web系企業でも十分に武器として通用します。